「お使いのスマホが危険な状態です。こちらから操作して直しますので、アプリを入れてください」
「確認のために、画面に出ている数字を読み上げてください」
電話口でこう言われて、どうしていいか分からなくなってしまった——そんなご相談が増えています。
結論からお伝えします。遠隔操作を求められたら、その場でアプリを入れず、電話を切ってしまって大丈夫です。切っても失礼にはなりませんし、それで困ることも起きません。
この記事では、遠隔操作をめぐる詐欺の手口、言われても応じてはいけないこと、もう入れてしまったときの対処までを、ご家族と一緒に確認できる形でまとめました。あわてず、ひとつずつ見ていきましょう。
いま電話がつながっている方へ
いま実際に電話がつながっている、または画面の指示に従っている最中の方は、まず次の4つだけ守ってください。これだけで、大きな被害はほとんど防げます。
- 言われたアプリを入れない
- 画面に出ている数字や文字を、相手に伝えない
- 電話は切ってよい
- 家族に相談する
この続きは、落ち着いてからで大丈夫です。
遠隔操作の詐欺とは
「遠くから操作して直します」と言われる手口
遠隔操作とは、離れた場所にいる人が、あなたのスマホやパソコンの画面を見たり、動かしたりできる仕組みのことです。本来は、会社のサポート窓口が「お客さまの代わりに設定する」ときなどに使われています。
詐欺では、この仕組みが悪用されます。「ウイルスを消します」「返金の手続きをします」などと言ってスマホを操作できる状態にさせ、その裏でお金を動かしたり、情報を抜き取ったりします。
アプリそのものが悪いわけではありません
遠隔操作に使われるアプリの多くは、企業のサポート業務で日常的に使われている正規のソフトです。アプリ自体が危ないもの、というわけではありません。
危ないのは、知らない人に電話で言われて、その場で入れてしまうことです。ここだけ押さえておけば大丈夫です。「このアプリは安全だろうか」と迷うより、「誰に言われて入れようとしているのか」を思い出してください。
操作されると、何が起きるのか
相手がスマホを操作できる状態になると、次のようなことが起こりえます。
- ネットバンキングの画面を開かれ、お金を送金されてしまう
- 電子マネーやギフトカードを買わされ、番号を伝えさせられる
- 連絡先や写真を見られてしまう
- 画面をわざと暗くされ、何をされているか見えなくなる
とはいえ、これは「アプリを入れて、相手の指示どおりに進めてしまった場合」の話です。入れる前に電話を切ってしまえば、何も起きません。
よくあるきっかけ
遠隔操作を求められる場面は、だいたい次の4つのどれかから始まります。ご自身やご家族に心当たりがないか、確認してみてください。
1. ウイルス感染の警告画面から
ホームページを見ていると、突然「ウイルスに感染しました」「今すぐサポートに電話してください」という画面が出ることがあります。こうした画面の多くは偽物で、書かれている電話番号は詐欺グループにつながります。
電話をかけてしまうと、そこから遠隔操作の話が始まります。警告画面が出たときのあわてない閉じ方は、「ウイルスに感染」の偽警告をあわてず安全に閉じる手順にまとめています。
その画面に電話番号が書かれていて、かけるかどうか迷っているときは、スマホに「サポートに電話してください」と出たときの対処方法もあわせてご覧ください。
2. 「サポートセンター」を名乗る電話から
「パソコン会社のサポートです」「携帯会社のサポートです」と、よく知られた会社の名前を出してくることがあります。日本語も丁寧で、こちらを気づかうような話し方をするので、本物だと思ってしまうのも無理はありません。
ですが、本物のサポート窓口が、かかってきた電話でいきなり遠隔操作を求めてくることは、まずありません。
3. SMSやメールの案内から
「未払いがあります」「アカウントが停止されました」といったSMSから、電話や遠隔操作へ誘導されることもあります。こうしたメッセージの見分け方は、詐欺SMSの見分け方で詳しくまとめています。
4. 役所・警察・大手企業をかたる案内から
はがきやチラシ、封書で「重要なお知らせ」として届き、そこに書かれた番号に電話させる手口もあります。紙にQRコードが印刷されていることもあります。QRコードを読み取るときの確認のしかたは、QRコードを読み取っても大丈夫?注意したいことと安全な使い方をご覧ください。
役所や警察が、電話でスマホの遠隔操作を求めてくることはありません。
入れてはいけないアプリ・応じてはいけないこと
「サポート用のアプリを入れてください」と言われたら
電話をしながらアプリを入れるように言われたら、そこでいったん止めてください。入れる前に電話を切って、ご家族に相談すれば、それで十分です。
アプリを安全に選ぶときの考え方は、アプリを入れるときの注意点|安全に使うための確認方法にまとめています。
画面に出た数字を、相手に伝えない
遠隔操作のアプリを開くと、画面に数字が表示されることがあります。これは「この番号を知っている人だけが接続できる」ための、鍵のようなものです。
この数字を相手に伝えると、操作を許すことになります。電話口で数字を読み上げるよう言われたら、それが合図だと思って、そこで止めてください。
画面共有をオンにしない
「画面を見せてください」「共有のボタンを押してください」と言われても、押さないでください。画面が見えるようになると、暗証番号を入力する手元まで見られてしまいます。
「コンビニで電子マネーを買ってきて」は詐欺です
これははっきりお伝えします。修理代、手数料、返金の手続きなどを理由に、コンビニで電子マネーやギフトカードを買ってくるよう指示するのは、詐欺です。本物の会社が、この方法で支払いを求めることはありません。
すでに買ってしまったあとでも、番号を相手に伝えていなければ、まだ止められることがあります。カードを手元に置いたまま、すぐにご家族か相談窓口に連絡してください。
電話は切ってしまって大丈夫です
切っても失礼にはなりません
「途中で切ったら失礼ではないか」「怒られるのではないか」と気になる方は多いのですが、心配いりません。本物のサポート窓口であれば、こちらの都合で切っても、あらためて対応してもらえます。
そして詐欺の相手であれば、切ることこそがいちばんの対処になります。
「かけ直します」と言って切ってよい
黙って切りにくいときは、「家族に確認してから、こちらからかけ直します」と伝えて切れば大丈夫です。
相手が「今すぐでないと間に合いません」「切らないでください」と強く止めてきたら、それ自体が詐欺のサインです。本当に急ぐ用件は、ほとんどありません。
折り返すのは、自分で調べた番号だけ
かけ直すときは、画面やはがきに書かれていた番号ではなく、公式サイトや請求書、通帳に書かれている番号を、ご自身で調べてかけてください。相手が伝えてきた番号は使わない、と決めておくと安心です。
もう入れてしまった・操作されたかもしれないとき
「入れてしまった」と気づいた時点で、まだできることがたくさんあります。あわてず、順番に進めましょう。
1. まず通信を止める
いちばん早いのは、スマホの通信を切ることです。設定から「機内モード」をオンにすると、電話もインターネットも一時的に止まり、遠くからの操作もできなくなります。Wi-Fiだけを切る方法でもかまいません。
2. 入れたアプリを削除する
言われて入れたアプリを、スマホから削除します。
- iPhone:アプリを長押し →「Appを削除」
- Android:アプリを長押し →「アンインストール」
どのアプリだったか分からないときは、無理に探さなくて大丈夫です。次の連絡を優先してください。
3. 銀行・カード会社に連絡する
お金に関わる画面を開かされた心当たりがあれば、すぐに連絡します。
- 銀行:通帳に書かれた電話番号へ。口座の停止や確認を依頼します
- クレジットカード会社:カード裏面の電話番号へ。利用停止と再発行の手続きをします
「まだ被害は出ていないかもしれない」と迷っても、先に連絡してかまいません。早いほど止められます。
4. パスワードを変える
操作されている間に見られた可能性のあるサービスは、パスワードを変えておくと安心です。すべてを一度に変えようとせず、銀行・ネット通販・メールなど、お金に近いものから順に進めれば十分です。
5. 家族と相談窓口に伝える
ひとりで抱え込まないでください。ご家族に状況を伝えたうえで、次の窓口も使えます。
- 消費者ホットライン:188
- 警察相談専用電話:#9110
実際にお金を払ってしまった場合は、最寄りの警察署に直接相談するのが確実です。
なお、遠くから操作されていたかどうかを、あとから確実に見分ける方法はありません。「分からないから不安」という状態こそ、相談していい理由です。恥ずかしいことではありません。
今後の予防
「知らない人に言われて入れない」を合言葉に
覚えることは、この一つだけで十分です。アプリの良し悪しを見分けようとするより、「誰に言われたのか」を思い出すほうが、ずっと確実です。
相談先を紙に書いて、電話のそばに貼っておく
あわてているときは、スマホで調べる余裕がありません。次のような連絡先を紙に書いて、電話の近くに貼っておくと安心です。
- ご家族の電話番号
- 取引のある銀行の電話番号
- クレジットカード裏面の連絡先
- 消費者ホットライン 188
家族と「必ず一度電話する」ルールを決めておく
「アプリを入れてと言われたら、入れる前に必ず私に電話して」と、あらかじめ決めておきましょう。判断を自分ひとりで背負わなくていいと分かっているだけで、あわてずに済みます。
ご家族の方へ
まず、責めないでください
「なんで電話しちゃったの」「また変なものを入れたの」と言いたくなる場面かもしれません。でも、最初のひと言はこれで十分です。
「大丈夫、よくあることだから。まず何も押さないでね」
親御さんはすでに十分こわい思いをしています。責められてしまうと、次に困ったときに相談してもらえなくなります。
帰省したときに一緒に確認したいこと
- 見覚えのないアプリが入っていないか、一緒に画面を見る
- 相談先を書いた紙を、電話のそばに貼る
- 「入れる前に電話してね」のルールを、口に出して確認する
離れて暮らしている場合
電話やLINEのビデオ通話で画面を見せてもらえば、離れていても状況は確認できます。「今、どんな画面が出ている?」と一緒に見ながら進めると、親御さんも落ち着いて操作できます。
最後に
遠隔操作の詐欺は、相手が丁寧で親切そうに話しかけてくるぶん、気づきにくいものです。ですが、こちらがやることは、とてもシンプルです。
- その場でアプリを入れない
- 画面の数字を伝えない
- 電話は切ってよい
- 家族に相談する
この4つを覚えておけば、被害のほとんどは防げます。もし入れてしまったあとでも、早めに動けば十分に対応できます。ひとりで抱え込まず、まずご家族に声をかけてください。
スマホの詐欺や安全対策をまとめて確認したい場合は、スマホの詐欺・安全対策|困ったとき一覧も参考にしてください。
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