親にスマホを教えていて、ふと声がきつくなってしまった。
そのあと、自己嫌悪になってしまった。
そんな経験、ありませんか。
この記事は、「教え方」ではなく、「伝え方」と「気持ちの持ち方」に焦点を当てた内容です。
読み終わるころには、少しだけ肩の力が抜けて、また親の前に座れるようになる。そんな記事を目指しました。
イライラしてしまうのは、あなただけではありません
まず、いちばん大切なことからお伝えします。
親にスマホを教えていてイライラしてしまうのは、決してあなただけではありません。
そして、それはあなたが冷たい家族だからでも、忍耐力が足りないからでもありません。
同じことを何度も聞かれると疲れる
「これ、どうやるんだっけ」
「またこの画面が出てきた」
同じ質問を、何度も繰り返しされる。
これは、教える側にとって、本当に疲れることです。
「前に教えたのに」「また同じこと?」と思ってしまうのは、ごく自然な反応です。
あなたが悪いわけではありません。誰でも、同じことを何度も聞かれれば、少しずつ疲れていきます。
家族だからこそ感情が出やすい
不思議なもので、職場の同僚や知人になら、いくらでもやさしく教えられます。
でも、親や家族が相手になると、つい言葉がきつくなってしまう。
これは、家族だからこそ、遠慮がなくなるからです。
近い関係であるほど、感情がそのまま出てしまいます。
「家族なのに、なぜこんなに優しくできないんだろう」と自分を責めてしまう方もいらっしゃいます。
でも、それは「家族だから」起きていることであって、あなたの人柄の問題ではありません。
まず知っておきたいこと
具体的な伝え方の前に、ひとつだけ知っておいていただきたいことがあります。
これを知っているだけで、気持ちが楽になります。
親はわざと分からないふりをしているわけではない
「なんでこんな簡単なことが分からないの」
そう思ってしまうとき、心のどこかで「分かろうとしていないんじゃないか」と感じてしまっていることがあります。
でも、ほぼ間違いなく、親は本気で分かろうとしています。
ただ、頭に入ってくる速さが、こちらと違うだけです。
新しいことを覚えるスピードは、年齢とともに少しずつ変わっていきます。
これは怠けているからではなく、ごく自然な変化です。
一度で覚えられなくても普通
新しいことを一度で覚えられる人は、ほとんどいません。
私たちでも、新しいスマホに買い替えたとき、最初の1週間は何度も操作に迷うはずです。
親にとって、スマホの操作はそれが毎日続いている状態です。
「3回教えても覚えない」のではなく、「3回教えてようやく半分覚えた」くらいで、ちょうどいいと思ってください。
このハードルを下げておくだけで、教える側のイライラはずいぶん減ります。
イライラしにくくなる伝え方
ここからは、実際にやってみると違いを感じられる、5つの伝え方をご紹介します。
全部を意識する必要はありません。「これならできそう」と思ったものから試してみてください。
一度にひとつだけ伝える
つい、「ここを押して、次にここを開いて、それから設定を変えて…」と一気に説明したくなります。
でも、一度に3つも4つも伝えると、聞いている側はほぼ覚えられません。
覚えられないと、聞き返される。聞き返されると、教える側がイライラする。
これは、教え方の問題ではなく、伝える量の問題です。
1回にひとつだけ。これだけで、お互いの空気が変わります。
長く説明しすぎない
「これはこういう仕組みになっていて、だから…」と、背景から丁寧に説明したくなることがあります。
でも、操作を覚えたい場面では、長い説明はかえって邪魔になります。
理由よりも、まず「どこを押すか」だけを伝えてください。
慣れてきたら、親の方から「これは何のためにやるの?」と聞いてくれます。
聞かれてから答えれば十分です。
操作の名前より「押す場所」を伝える
「タップして」「スワイプして」「アプリを起動して」
こうした言葉は、私たちには当たり前ですが、親世代にはなじみのない外来語ばかりです。
言葉でつまずくと、その先の操作にも進めなくなってしまいます。
「言葉」ではなく、「画面のどこを押すか」だけを伝えるのがコツです。
- 「タップして」→「軽くたたいてみて」
- 「スワイプして」→「指を上にすべらせて」
- 「アプリを開いて」→「この緑色の四角いマークを押して」
場所と動作だけを伝えれば、ほとんどの操作は通じます。
できたことを先に言う
つい、できていないところに目が行ってしまいます。
でも、最初に伝えるはは、できたことのほうがずっと効きます。
「メッセージ送れたね、ちゃんと届いたよ」
「写真、上手に撮れてる」
こうした言葉が先にあると、親も「自分にもできるんだ」と感じて、次に進む気力が出てきます。
できなかったことの指摘は、できたことを伝えてからでも遅くありません。
途中で休む
30分、1時間と続けて教えると、教える側も教わる側も、必ず疲れてきます。
疲れた状態で続けても、いいことはありません。
「ちょっとお茶でも飲もうか」
「今日はここまでにしよう」
区切りをつけて休むことは、決してさぼりではありません。
むしろ、続けるための知恵です。
言わない方がよい言い方
つい口から出てしまいがちですが、できれば避けたい言い方があります。
これは「言ってしまったら反省」という話ではなく、「あらかじめ知っておけば、避けやすい」という話です。
なんで分からないの
こちらは「困っている」というつもりで言ったとしても、親には「自分はダメなんだ」と聞こえてしまいます。
そう感じると、次から「分からない」と言いにくくなります。
分からないと言えなくなると、聞かずに自己流で操作してしまい、トラブルにつながりやすくなります。
前にも言ったよね
これは、つい出てしまう言葉のひとつです。
でも、親も「前に聞いた気がする」と分かったうえで、それでも忘れてしまっていることがほとんどです。
分かっているところを指摘されると、よけいに申し訳なくなって、聞きづらくなります。
「前にも言ったよね」と思ったときは、「メモを一緒に作るタイミング」だと考えてみてください。
そこじゃない
操作している親の手元を見ながら、つい「そこじゃない」「違う、こっち」と言ってしまうことがあります。
否定の言葉が続くと、親は手を止めてしまい、自信をなくしてしまいます。
代わりに、後でご紹介する「伝わりやすい言い方」に置き換えてみてください。
伝わりやすい言い方の例
では、どんな言い方なら伝わりやすいのでしょうか。
そのまま使える、3つのフレーズをご紹介します。
「この丸いボタンを押してみて」
「そこじゃない」と言いたくなったときの、置きかえの言葉です。
否定するのではなく、正解を直接示してあげる。
「この丸いボタン」「左下の青い四角」など、見た目で分かる特徴を伝えると、親も迷わず手を動かせます。
「違う」と言われるより、「これだよ」と教えてもらえるほうが、ずっと気持ちよく次に進めます。
「ゆっくりで大丈夫」
急がせる気がなくても、こちらの表情や声のトーンで、親は急かされていると感じてしまうことがあります。
意識して、「ゆっくりで大丈夫」「あわてなくていいよ」と声をかけてあげてください。
この一言があるだけで、親は安心して画面に向き合えます。
急がない方が、結果的に早く覚えてもらえます。
「一緒に見ていこう」
「教える」のではなく、「一緒にやる」という姿勢を、言葉で表すフレーズです。
「一緒に見ていこう」
「私もここ、毎回確認するよ」
「2人で順番に押していこうか」
こうした言葉が出ると、教える側と教わる側の上下関係がなくなります。
親もリラックスして、こちらに分からないことを聞きやすくなります。
離れて暮らしている場合の工夫
近くに住んでいないご家族でも、できる工夫はたくさんあります。
LINEやビデオ通話で一緒に確認する
LINEのビデオ通話を使えば、お互いの顔を見ながら話せます。
親に「画面をこちらに見せて」とお願いすれば、どこを操作しているか確認できます。
「その緑のマーク、もう一度押してみて」と、隣にいるように教えられます。
一緒に画面を見ているという安心感は、電話だけのときより、ずっと強く伝わります。
スクリーンショットを送る
「ここを押して」と言葉で説明してもうまく伝わらないときは、自分のスマホ画面を写真のように保存して(スクリーンショット)、矢印や丸印をつけて送る方法があります。
視覚で伝えると、年齢に関係なく分かりやすくなります。
親も、送られた画像を後から見返せるので、安心して操作を進められます。
記事のURLを送る
このサイトには、操作のやり方をやさしくまとめた記事がいくつもあります。
ご自分で説明する代わりに、「この記事を見ながらやってみて」とURLを送るだけでも、十分に伝わります。
親も「あなたに何度も聞かなくて済む」ことで、気が楽になります。
教える側も、毎回口で説明する負担が減ります。
ご家族自身が疲れすぎないために
最後に、教えるご家族自身のためのお話です。
全部を背負わなくてよい
「親のスマホのことは、自分が全部見なきゃ」と思っていませんか。
その気持ちは素晴らしいものですが、すべてを一人で背負う必要はありません。
仕事も、生活も、ご自分のご家族もある中で、親のサポートまで完璧にしようとすると、必ずどこかで疲れてしまいます。
「全部教えなきゃ」ではなく、「困ったときに、立ち戻れる場所を作ってあげる」くらいの気持ちで十分です。
ショップや周りの助けも使う
携帯電話会社のショップでは、使い方の相談を無料で受けられるところがほとんどです。
家電量販店にも、スマホの相談窓口があります。
地域によっては、シニア向けのスマホ教室を開いている自治体や公民館もあります。
「自分で全部教える」のではなく、こうした場所も上手に使ってください。
プロに教わるほうが、親もきちんと身につくことが多いです。
困ったときの解決方法を、親自身が一人で見られるよう、よくある困りごとのページをブックマークしておくのもおすすめです。
最後に
親にスマホを教えるのは、思っているより心の体力を使うことです。
イライラしてしまった日があっても、自分を責めないでください。
大切なのは、完璧に教えることではなく、「教えようとしてくれている」という気持ちが伝わることです。
その気持ちは、声のトーンや表情を通じて、ちゃんと親に届いています。
少しずつ、ゆっくりで大丈夫です。
今日うまくいかなくても、また明日があります。
親への教え方の基本を、はじめからおさらいしたい方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。
親にスマホを教えるコツ|離れていても伝わる、教え方の7つのポイント
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